« 2010年11月 | トップページ | 2011年5月 »

2011/01/09

『歩きながら考えよう』

著者:安藤忠雄

言わずと知れた日本を代表する建築家。
どのような考えを持っているのか非常に興味深い。


情報機器の発達で、急速な勢いでコンピュータ社会になっていますが、人間が歩むべき方向ではない、違うところに向かっているように思えてなりません。つまり、IT革命は人類にとっては後退だと思う。

東京から大阪まで二時間以上かかりますが、この移動にかかる「すきまの時間」が大変重要だと私は思うのです。この時間に、人間はいろいろと何かを考えるでしょ。それが大事なんです。

「我慢」を知り、「不便」にも耐え、それが総合的な幸せにも繋がっているということです。

自分の思考と表現と判断力によって自分の世界を作っていく。


タイトルの通り、人間は歩きながら考えなければならない。
人は考えることができると同時に、言葉によって意思疎通できる。
昔から綿々と受け継がれている礎が揺らぎ始めているのでは。確かにIT化による恩恵は多いが、それにより失うものにも目を向けて行かなければならないのだろう。
著書は短いが、内容はなかなか奥深い。

| | トラックバック (0)

2011/01/05

『砂漠』

著者:伊坂幸太郎

無駄で無意味な時間を漠然と過ごしていく大学生達。これが学生生活の醍醐味なのだろう。
だが、卒業すると「砂漠」という名の社会に出てゆかなければならない。そのはざ間で揺れ動くいろいろな想いが交錯する。
意味がないようで、意味深く表現されるところはさすがである。

学長が最後の卒業式のシーンで


学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。そういう人生は送るなよ。
人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである

砂漠へ旅立つ若者へのエールである。

文化祭、コンパ、麻雀あり、そしてちょっとサスペンスがある読み応えある青春小説。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/01/03

『山の遭難』

著者:羽根田治


山で道に迷いそうになってヒヤッとしたことは一度ならずあると思う。それが大事に至らずにすんでいるのは、深みにはまり込む前に正しいルートに戻っているからだ。
ある時点で必ず「あれ、おかしいな。この道でいいのだろうか」と思う瞬間がある。それは本能が発する危険信号のようなものと言ってもいいかもしれない。
この時点でたどったルートを引き返せば正しいルートに戻ることができるが、この「引き返す」ということがなかなかできない。
「おかしいな」と感じた時点で引き返すが引き返さないかが、遭難するかしないかの分かれ道になる。引き返せない人が、道迷い遭難を起こすのだ。

山で道に迷って現在地が分からなくなってしまったときにはもう手遅れである。基本的に地図とコンパスは現在地を確認するためのものであり、現在地が分からず明確な目標物もないという状況ではほとんど役に立たない。

なるほど、その通りだと思う。

山での遭難の傾向、統計や実例を元に対策方法や心構えなどが克明に記されている。ここ近年、登山者は増加傾向にあるが、健康増進や気分転換といったプラス面だけではなく、山独特なリスクも考慮し、覚悟した上で山に入るべきだと説いている。


厳冬期の北アルプスだろうと、ハイキングで行く山だろうと、遭難事故は、いつ、誰に起きても不思議ではない。
「自分だけは大丈夫」「私は危険な山には行かない」そんなふうに考えているとしたら、あなたも”遭難予備軍”だ。

ちょっと滑ったや、道に迷ったが最悪の事態を招く恐れがある。
都会とは違う世界なのだ。すべては自己責任になるのだ。
そのようなことが自覚できているかどうかは重要な問題だと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年11月 | トップページ | 2011年5月 »