« 今日は久しぶりの豪雨 | トップページ | 『ザ・リコール』 »

2006/12/27

『神々の山嶺(下)』

著者:夢枕獏

G・マロニーのカメラを追っかけているうちに、羽生丈二という男に出会い、その男の過去をたどっているうちに羽生丈二の人間そのものに魅かれて行くジャーナリスト・深町誠。
その羽生丈二は前人未踏のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑むということを知り、一緒に行動するようになる。

エベレストへのベース・キャンプで深町は羽生に問う。

「なぜ、山に登るのか?」
それは「なぜ、生きるのか?」ということと等しい。

「そこに山があるからじゃない。ここに、おれがいるから、山に登るんだよ」
「これしかないから、山をやってるんだ。他にやり方を知らないから、これをやってるんだ」

答えのないテーマ。
登ってしまい頂に立つことで、その答えが得られるのか。
頂に到達することでも答えは分からない。分からないから、さらに危険な、より高い頂を目指してしまう。

羽生は向かって行った。吹雪や血まで凍りつくような極寒の極限の世界。
人間の領域を超えた、神々の領域の中へ。。

そして、深町が最後に見たものは。。。

酸素が薄くなると幻覚を見て、幻聴を聞くという。
何もせずとも命を奪われる世界。そこはまさに死の世界。
標高7,000m以上、酸素が薄く風速40m、気温マイナス30度という超絶な環境で、新宿の高層ビル2つ分以上の高さを誇る凍りついたほぼ垂直の岩壁を、いくつも攀じ登りながら頂を目指すという想像もできないような状況や緊張感が、臨場感を伴ってリアルに伝わってくる。

上下巻で1,000ページを超える大作だが、ついつい嵌まり込んでしまい、一気に読み進めた。久しぶりに感動した一冊でした。

|

« 今日は久しぶりの豪雨 | トップページ | 『ザ・リコール』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『神々の山嶺(下)』:

« 今日は久しぶりの豪雨 | トップページ | 『ザ・リコール』 »